YOBE.COM-SPECIAL ISSUE
BONJOUR DE PARIS


#09 わたしの生活
1999年7月19日

19日月 後もう少しで帰国だ。パリは楽しい。なんだか帰りたくない。私はこっちに住みたくなった。 最初は分からなかった色々なことが、今は少しずつ分かってきた。 メトロだっておおまかに頭の中で路線図を描けるようになったし、 レストランで食事するのだって躊躇せずに入ることが出来るようになった。 フランス人の友達は出来たがフランス語は全く上達しない。多少の会話の挨拶程度だ。 いつも会話には英語で話しをしているので、多少英語は上達したかもしれないが、 あまり進歩がないように思う。フランス語なまりの英語は耳に残らないのだ。 私が覚えたフランス語のなかで、私は「待って」とう意味のアトンという言葉が気に入っている。 「Fuck!」という意味のピュータン!という言葉だって分かるようになった。 これは私は使わないけど。
私の住んでいるこのホテルではなんだか私が問題児の様に扱われている。 小学校時代を思い出した。 私は窓から抜け出してとなりの建物の屋上にのぼって一人たそがれるのが好きで ある。よく夕方の時間をそこで過ごしている。そこにでると、まわりは高いアパートに囲まれた空間で 色んな窓がすぐ横に見える。空は薄い水色で白い雲がかかり、たまに鳩やすずめが空を飛び交う。 隣のアパートの屋根裏部屋に住んでいるロカビリーのシンガーがたまによく通る声で窓からうたを歌う。 洗濯物を干している女の人がにこりと笑いかける。私のいるホテルの他の窓からは 観光客の男の人が手を振ってくるがこれは無視する。どうやら、ホテルの人にばれている様だ。 あと私は自分の部屋の色々なところを破壊している。窓のカーテンについている長いプラスチックの スティックを真中から折ってしまい、それはソファーベットの向こう側に隠した。 私はふだんあまり食器を割らないのだが、ホテルのガラスのコップをひとつのこらず割ってしまった。 テレビのリモコンは気がつくとごみに一緒に捨ててしまっていた。これはばれないだろう。 (私はふだんからテレビは全く観ないので困ってはいない。) あと、最大の破壊は、料理中にふとフライパンをホットプレートのよこにどけておいたら それがホットプレートのスイッチのつまみの上で、フライパンのうらにつまみが 溶けくっついてしまって取れなくなっていた。力いっぱい引っこ抜くと、つまみが根元から取れてしまった。 まあ、なんとか修復したけれど、つまみは元の形では無くなってしまった。 先日、またやらかしてしまった。夜トーストを焼いていたら真っ黒焦げにしてしまい、そのトーストから すごいスモークが。私は空気を入れ替えようと窓と空けた。しかし風の通りが悪くいつまでたっても 焦げ臭いにおいとスモークが消えないので玄関をあけた。するととたんに煙探知機が鳴り出した。 「やばい!」私は静かに戸を閉め、ベルが鳴り止むのを待った。しかし、ベルはいつまでも鳴っているのだ。 そのうち上の階からどたばたと逃げていく足音がする。大騒ぎになってしまった。 フロントのガイが一つ一つの部屋を安全を確かめに巡っている。 しかし以前もこのベルは誤動作でなっていたことがある。だから私はなんとかなるだろう、と思った。 どきどきしながら私は一人部屋にちじこまっていた。そして窓を空けたり閉めたりして空気を逃がそうと、一生懸命がんばった。 結局フロントのガイが私の部屋にやって来た。そしてまっさきにこげたトーストを摘み上げ、ばれてしまった。 それから私は、かなり怒られた。しかし、悪気があったわけではないのだ。 以来、そのフロントのガイは私に冷たい目を向ける。私がBonjourと挨拶しても彼は無視するのだ。 まあ、でもそんなことは気にしない。いつも部屋でジミヘンドリックスを聴いて過ごしている。 そんな感じだ。
----ようべ a.k.a YOKO AYUKAWA 7・19

 



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